私の製作した素材のほとんどは、ループの開始地点と終了地点が書いてあり、その範囲内で違和感なくループできるような作りになっています。
DOVA-SYNDROMEさんで検索すると、曲の前後に無音部分がなく、連続再生(リピート)するだけでループできるようになっている素材がいくつもヒットしますね。
自分も同じように簡単にループできる素材が作りたい!と思い、色々試行錯誤したのですが、これがどうにも上手くいきません。
私と同じようにハマッた方もいるんじゃないかと思ったので、自分が調べた結果を載せていこうと思います。
シームレスにループできる素材作り
まず、WAVファイルの時点でシームレスにループできるデータを作らなければなりません。
この時に気を付けなければならないのが、残響音の処理です。
普通に開始から末尾までを書き出した場合、ループする際に末尾で鳴っている楽器の残響音が先頭に収録されていないため、残響音がブツっと切れてループする形になってしまいます。
こうなると、どうしてもループする際に違和感が生じてしまうので、
あらかじめ、ミックスする際に何回かループするように作ります。
そして、2ループ目に入るちょっと手前から一度WAVを書き出し、その後ループの先頭部分から末尾まで書き出す手順を踏みます。
こうすることで、先頭に残響音を収録することができるため、シームレスに連続再生することができます。
・・・図解が下手で申し訳ありません。
MP3は連続再生ループに向いてない!?
さて、次はMP3に変換しなければなりません。
結論から言うと、どうもMP3は連続再生でのループに向いていない形式のようです。
WAVファイルからMP3ファイルに変換する際、元データには無い余計な無音部分が先頭、または末尾に勝手に挿入されてしまうからです。
MP3はフレーム単位(44.1kHzのサンプル周波数なら1152サンプル=0.0261秒)でデコードを行う。つまり、MP3ファイルは1152サンプル(0.0261秒)の整数倍の曲長しか取り得ないことを意味する。
具体例として、サンプル周波数44.1kHzの1秒のMP3ストリームを作る場合、必要なMP3フレーム数を計算すると「44100 / 1152 = 38.3」になり、小数点は切り上げるしかないので、39フレームということになる。
このとき、39フレームでMP3ファイルを作ると、デコード後の曲長は「39 * 1152 / 44100 = 1.02 [秒] 」になってしまい、正確に1秒のMP3ファイルは作れない。つまり、ファイル末尾に約0.02秒の無音部分が付いてしまう。
引用・いまさらながらMP3のギャップレス処理を復習
具体例として、サンプル周波数44.1kHzの1秒のMP3ストリームを作る場合、必要なMP3フレーム数を計算すると「44100 / 1152 = 38.3」になり、小数点は切り上げるしかないので、39フレームということになる。
このとき、39フレームでMP3ファイルを作ると、デコード後の曲長は「39 * 1152 / 44100 = 1.02 [秒] 」になってしまい、正確に1秒のMP3ファイルは作れない。つまり、ファイル末尾に約0.02秒の無音部分が付いてしまう。
引用・いまさらながらMP3のギャップレス処理を復習
というわけで、いくらWAVの時点でループできるようにしても、ピッタリ1152サンプルの整数倍の長さにならない限り、自動的にニュルっと無音が挿入されて綺麗にループできなくなるんですね。
って整数倍まで計算に入れて曲作れるかっつの!((((;゚Д゚))))
実践
「さんさん日和」という曲のデータの末尾部分です。
上が元のWAVデータ、真ん中がcubaseでMP3に書き出したデータ、下がituneでWAVからMP3に変換したものです。
ってなんか真ん中短くなってる!?無音挿入されるから長くなるんじゃないの!?
下は先頭と末尾にそれぞれ無音が挿入され、若干長くなっていますね。
もしかしてcubaseはループしやすいようなサンプル数に自動的に合わせてくれるのかも?
確かに完全な無音が入ってブツっと切れるよりは、聴こえはいいかもしれませんね。
少しでもごまかすための編集
無音部分を少しでも取り除いて、できるだけシームレスにループさせたい!という方は、「mp3DirectCut」を使うのもアリかもしれません。
このソフトは、MP3を再エンコードしたり劣化させること無く、直接指定部分の削除や切り出しを行うことができます。
mp3DirectCut
こちらからダウンロード後、インストールしてください。
使い方
起動して編集したいデータをぶっこむと、中央の青い部分に大まかな波形が表示されます。
無音部分を自動検出する機能もあることにはありますが、使ってみた感じあまり精度がよくないので、手動で直接切り取りしたほうが確実だと思います。
とりあえず、末尾の無音部分を消してみましょう。
波形上をドラッグして、消したい範囲を水色で選択します。
ちゃんと1152サンプルの整数倍ごとに範囲が広がります。
範囲を決めたら、「編集」タブ→切り取り で選択範囲を削除できます。
編集し終えたら、「ファイル」タブ→全体の保存 で別名義で保存します。
上が元のMP3データ、下が編集後のデータです。
末尾の明らかな無音部分が消えて、スッキリしました。
少々頭突っ込みな形でループすることになりますが、無音が入るよりは多少マシじゃないかと思います。
最後に
というわけで、MP3でシームレスループさせるための力技をご紹介しました。他の形式はわかりませんが、少なくともMP3でのシームレスループは難しい、ということがわかりました。
エンコードに使うソフトによっても、挿入される無音の長さが変わるようなのがまた厄介ですね。
何かもっといい方法はありませんかね・・・
それでは、また。